【塾長日記】日本の将来が不安な大きな理由は、子供たちの理解力不足ではない。
今日は長文なので、興味がある人以外はスルーしてください。
東大合格を目指したAI”東ロボくん”の開発で有名な新井紀子先生。
この前も新井先生がインタビューに答えられた記事を見る機会がありました。
その記事内で先生は、
私は問題文の意味が理解できないAIに、どうして8割もの高校生が負けたのか、もしかしたら中高生もAI同様に、教科書や問題文が読めていないのではないか、と疑問を抱き、全国1万5000人の中高生を対象に調査を始めました。その結果、今の中高生は教科書がまるで読めていないことがわかりました。 (中略) 子供たちがここまで文章を読めていない現状を、今まで政府は把握していなかったのだと思います。 どうにかしないといけませんが、私一人の力では無理で、このままではまずいという世論の醸成が不可欠です。今、世の中は英語教育とプログラミング教育を進めようという流れですが、日本語も読めないのに英語を学ぶ意味がありますか。日本語も読めないのにプログラミングができますか。そのことをまだ、だれも考えていません。
と警鐘を鳴らしていらっしゃいました。
おっしゃっていることは、まさにその通りなんですけれど。
うーん、なんだろう、このズレ感。
塾長は新井先生のお話をいろいろなところで見るたびに、新井先生の抱く危機感とは違う大きな危機感を感じるのです。
このお話から見えてくることと言うと、要するに新井先生を始めとするお役人たちや大学教授のような知性の高いエリート属性の人たちは、多くの普通の子供たちが自分たちが子供の頃と同じようなレベルでは文章が読めていないということにまったく気づいていなかったということですよ。
塾長のように補習を主な対象としている塾で指導をしていたり、あるいは一部普通科進学校以外の高校や公立の中学校で指導をしていたら、多くの子供たちが文章をちゃんと読めていないなんて、当たり前のことじゃないかと思うわけです。
文章読解力だけではないですよ。
算数の力にしたって、理科や社会の知識にしたって、よくそんなに何も知らないで今まで生きてこられましたね・・・という子供たちは実際にたくさん存在しています。
我々は、そういう現実と日々闘っているのですから。
ところが、新井先生は、東ロボ君開発に何年もかけてやっとその現実に気が付いてびっくりしたと言われるのです。
しかも、それが最近の傾向のようにも思われている。
もしかすると、文章の読めない子供たちが最近になって少しずつ増えているのかもしれませんけど。
実は文章の読めない子供たちは昔からたくさん居たのではないでしょうか。
東大や京大(新井先生は一橋ですが)あたりに入る人たちは、子供のころからそういう現実とは隔離された世界で生活してますよね。
仮に普通の公立中学校に通っていたとしても、高校は名門進学校に進み、周りにまともに文章が読めない奴なんていなかったはずです。
下手をすれば、小学校から私立一貫校で、純粋培養されてますからね。
だから、そういうエリートの人たちは、自分の記憶をたどっている限り、当時の現実はわからないと思うのです。
つまり、理解できていない子供たちがそんなに大勢居ることを知らないんです。
多くの子供たちが文章を読めないということも問題ですけれど、それよりも、そういう現実に気づいてちゃんと対応している偉い人がほとんど居ないとしたら、その方がもっと大きな問題じゃないですか。
もしかして、教育関係だけじゃなく、そういう普通の現実を知らないエリートばかりが偉い人になって、少数派である自分たちの感覚だけでいろんな施策を繰り出しているとしたら、これは大変なことです。
よくSNSなどで、年収が1000万円を超えるような世帯で子供の頃から生活しているお役人や議員が、年収200万とか300万円の生活の現実を理解して仕事をしているとは思えないというようなコメントを見ることがありますが、
この記事を読むたびに、偉い人というのは本当に(印象だけでなく)現実がわかってないんだなというのを再確認してしまいます。
塾長はそういう点にものすごく危機感を感じているのです。
というわけで、こんな長文になってしまいました。
最後まで読んでいただいた方、ただのおっさんの愚痴にお付き合いいただきありがとうございました。
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