【竜操教室 塾長日記】人を増やす前に、もっともっと標準化を図るべきではありませんか。
今朝のネット記事からの引用です。
全国の公私立校を対象に2016年に実施された「第6回学習指導基本調査」(ベネッセ)において。
仕事上の悩み12項目のうち、小中においてもっともその数値が高かったのは、「教材準備の時間が十分にとれない」であった。中でも小学校教員の数値は高く90.5%に達しており、ほとんどの教員が教材準備の時間の不足を訴えている。
いや、本当に先生というのはいろいろ大変だし、いろいろ忙しいのです。
自分のことも考えつつ、また周りの常勤の先生たちを見ていても、それはその通りと思います。
記事にもある通り、ほぼすべての授業を受け持たなければいけない小学校の先生は特に忙しいというのもわかる気がします。
でも一方で、学校の教務というのは、恐ろしく効率化が遅れているのも事実ではないかと思っています。
小学校の例で言うと、日本全国の公立小学校は同じ指導要領で、同じ授業内容を同じ時間数だけこなすようになっています。
ところが、細かな授業のやり方になると、日本全国でバラバラのことが行われています。
都道府県間でも、市町村間でも、いやいやそんな単位ではなく、各先生個人個人で、授業のやり方は細かく違っているのです。
同じ学校の同じ学年団の先生同士でも、下手をすると教え方が違います。
教え方が違うので、当然用意している教材も違ったりします。
宿題だって違うかもしれません。
隣の教室同士で、まったく同じ教科書でまったく同じ内容をまったく同じペースで教えているはずなのに、実は先生ごとにバラバラに授業内容を考え、バラバラに教材を準備し、バラバラに宿題を出しているのです。
そりゃあ、一人一人の負担が増えて、当然じゃないかと塾長は思います。
外食産業と比べて申し訳ないのですが、マクドナルドの例で言えば、店のクルーは違っていても、日本国中で同じメニュー、同じ品質、同じ味で提供されています。
だから安心して利用できるわけです。
それが、同じマクドナルドのハンバーガーなのに、沖縄と青森ではアレンジが違うようなものでしょ?
それも地方単位とか県単位とかではなくて、何千店もあるお店すべてで、しかも毎日、クルーがアレンジを考えて実践しているようなものですよ。
うちの客層は老人が多いから塩加減を控えようとか。
うちは女性客が多いから、野菜を少し多めにしようとか。
そうすれば、中には素晴らしい味を出せる店も出てくるでしょう。
でも、中にはどうしようもない不味いものが平気で提供される店も出てくるのです。
だって、誰も末端でチェックできませんから。
しかも、毎日毎日真面目にアレンジを考える何千店舗のそれぞれのクルーにかかる負担は、考えただけでも恐ろしいものがあります。
要するに学校というのは、教員一人一人がまるで職人のようになっていて、授業内容がすべてその教員に丸投げされているところが大きな問題なのです。
おまけに、一番大事な末端での顧客サービスの部分について、そのレベルを日々チェックするシステムが、学校現場にはありません。
教室という密室空間の中で何が行われているのか、知っているのは先生と生徒だけです。
そんな状態でここまで来ていることに、まず問題の根本があるように思います。
授業をどうやって、どのように進めていくのか。
どんな内容の話をどこまですべきなのか。
補助教材は何をどのぐらい使うのか。
宿題はどのレベルのものをどれくらい出すのか。
それらを今よりも細かく統一して、一本化すれば授業準備の負担は大きく軽減化されるはずです。
全国統一は無理としても、せめて自治体単位、教育委員会単位では基準が示され、それに基づいて教材準備は一括で行うとか、授業内容はビデオなどを用意してそれに準じさせるとか、
教務内容の職人化を少しでも抑え、新人でもベテランでも一定の教務レベルを一定の負担で維持できるように標準化を進めていくことで、もっともっと効率化ができると思うのですが・・・。
なんでそうならないんでしょうね。
まあおそらく、偉い人達もみんな職人上がりのようなもので、職人の仕事に誇りを持ってるからでしょうね。
ホテルの一流料理人に、大規模チェーン展開の店を考えさせるようなものと考えると、やっぱ無理なのかなと思ってしまうのでした。
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