【塾長日記】”本当の学力”なんてものは世の中に存在するのか?

定期テストの点数が良いのを見て、


範囲の狭い定期テストなら点数はとれるけど、”本当の学力”はどうだろうね?


などとしたり顔で言う人、多いじゃないですか。


センター試験の改革が行われますが、あれだって、現行のセンター試験では受験生ひとりひとりの”本当の学力”ははかれない、なんて言うでしょ?


そういう人たちに一度聞いてみたいのですが、じゃあ”本当の学力”っていったい何なんですか?ってことです。


それは、知的探求心だ!という人もいれば、問題解決能力だ!という人もいるでしょう。


あるいは、論理的思考力とか、それこそ生きる力だとか。


そりゃあ、なんとでも言えますけど、それらが本当に、”本当の学力”なんでしょうか。


それに、もしそれらが身につけるべき”本当の学力”だったとして、それらがどの程度身についているのかどうか、いったいどうやったらはかることができるんでしょうか。


点数化できます?


他人と比べられます?


そう言うと決まって、


それらの力は他人と比べて点数化できるようなものではなくて、ひとりひとりがそれぞれの個性を花開かせることができているかどうかが大切だ!


なんて言う、わかったようなわからないような論理で返されちゃうんですよね~。


社会に出たら、否が応でも序列化の中に組み込まれてしまうのに。


塾長はいつも思うのですが、世の中に”本当の学力”なんてものは存在していないでしょう?と。


その時々で良いように解釈される”本当の学力”という言葉があるので、結局何をやっても、本当の学力にはつながらない!と簡単に言い切ることができてしまうのです。


定期テストで100点を取っても、「そりゃあ過去問や類題を反復したら力がなくても取れるでしょ。」とか。


センターで高得点を取っても、「だからって、本当の学力があるとは限らないよ。」とか。


いや、別にそれ自体は評価してあげればいいじゃん!って思うんですよね。


世の中に”本当の学力”なんてものは無くて、実際に存在しているのは、それぞれ個別の学力と思います。


暗記が素晴らしいとか、読解力があるとか、計算に強いとか。


情報を探し出す力、他人の話を聞くことができる力、自分の考えをアウトプットできる力。


センター試験で点数を取る力、二次試験で点数を取る力、面接でアピールできる力。


もちろん、論理的な思考とか、問題解決力とか、知的好奇心とかもその中の一つですが、全部バラバラの能力であって、求められているものもそれぞれ違っています。


もしかすると、そういういろいろな力の総合力が”本当の学力”と呼べるかもしれませんけど。


学校でも、予備校でも、塾でも、会社でも、教育しているのはそれぞれの個別の学力であって、明確には存在していない”本当の学力”なんてものは簡単に指導できないものだと塾長は思っています。


範囲の狭い定期テストを類題の反復と暗記で乗り越えて良い点を取ることも個別能力の一つだし。


定期テストは今一つだけど、範囲の広いテスト、論理的な思考を問われるテストでは力を発揮できるというのも個別能力の一つ。


どちらが良くてどちらが悪いとか、どちらが”本当の学力”なのかということではなくて、どちらの場合でもそれぞれが強いところをより伸ばし、弱いところをより鍛えていくだけのことじゃないかと思います。


テストでは点数化できない”本当の学力”をつける!というような建て前論だけ唱えていては、それに付き合わされる子供たちが可哀そうですよ。


だから、別に類題の反復や暗記で目の前のテストの点数を取らせることが悪いことだとはまったく思いません。


レベルアップしていく目の前の課題を、ひとつひとつクリアしていく。


定期テストとか、実力テストとか、入試とか。


そのための最善策を具体的に提示して実行させることが、学校や塾に求められている優先事項だし、その積み重ねの先にあるのが、最終的には”本当の学力”をつけるということですよ。


常々、”本当の学力”という言葉にまどわされないようにしなければと思います。



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