【竜操教室 塾長日記】そこに拘る必要ありますか?

なんだか、塾関係者の方に多いように感じるのですが——


やはり自分が高学歴だからなのか、「一般入試で学力によって進学するのが王道で、推薦など学力以外の方法で進学するのは邪道だ」という意見を目にすることがあります。


もちろん、一般入試の比重が下がれば、自分自身の存在価値にも影響しますし、何より自分のよりどころである“学力”の価値に疑問符がつくことになりますもんね。


県立のトップ校では、「指定校推薦は卑怯者が選ぶものだ!」と公言していた先生もいたほどです。


確かに、塾長も、自分がかつて学力入試で合格した大学(早稲田・東北・神戸)には誇りを持っています。


でも、同じ大学やそれ以上のレベルの学校に推薦で合格した人に対して、何か思うところがあるかといえば、まったくありません。


むしろ、自分には学力入試しか選択肢がなかったけれど、推薦で進学する人には他に誇れる才能があるわけで、その点を尊敬しています。


それに、少なくとも早稲田では、指定校推薦で入学してくる学生の方が真面目で、大学の成績も良いという印象があります。


系列校からの推薦組には、確かに少し軽いノリのイメージもありましたが、そもそも付属の中学や高校に入学している時点で「すごいな!」と思います。


一般入試で合格した人が推薦組を貶す投稿を見ると、「そんな人生の一時通過点なんて、社会に出たら何の意味もないのになぁ」と感じます。


ましてや就職に影響するなんて、都市伝説もいいところですよ。


それはさておき——


要するに、指導者側が「本来の勉強とは!」「本当の学力とは!」といった上位層向けの“あるべき論”に凝り固まっていては、いけないと思うのです。


指導される生徒は上位層だけではなく、多種多様ですし、指導者に求められるものも千差万別です。


あるべき論が当てはまる生徒も居れば、そうでない生徒も居るのは当たり前のこと。


いわゆる“本来の学習法”が身についていなくても、“本当の学力”が十分でなかったとしても、それを修正することに固執するのではなく、臨機応変にその生徒の将来について一緒に考え、ベターな選択肢を探っていくことこそが、指導者の役目だと思っています。


学力入試だけが正しくて、推薦入試は間違っている——そんなふうに簡単に区別できるものではありません。

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